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「愛玩動物看護師監修 命に関わる猫のSFTSについて解説します」

更新日:11月11日

ニュースでも取り上げられることが増えてきた SFTS(重症熱性血小板減少症候群)。マダニが媒介するウイルス感染症で、人だけではなく 猫でも発症することが確認されています。

「外に出る猫だから気をつけたい」「完全室内飼育だけど大丈夫?」

そう感じている飼い主さんに向けて、猫の SFTS について 分かりやすく・正確に 解説します。



SFTSとは?


SFTSウイルスは 「マダニ → 猫 → 人」へと感染する可能性 があることが分かっています。特に、猫が感染した場合には 唾液や血液などを介して人へうつるケース が報告されており、飼い主さんや動物医療者にとっても注意が必要な感染症です。

国内では 西日本を中心にSFTSによる人の死亡例 が複数報告されています。猫の感染例についても、動物病院現場では年々増加しており、専門家からは警戒が呼びかけられています。マダニというと「山や草むらにいるもの」というイメージが強いですが、実はそれだけではありません。庭や公園の植え込み、土手、さらにはベランダに飛来した鳥から落ちてくることもある ため、完全室内飼育の猫でも油断はできません。


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猫がSFTSに感染する原因は?


主な原因は SFTSウイルスを保有するマダニに咬まれることです。

外に出たり、散歩に行く猫は感染リスクが高く、完全室内飼育でも、 網戸や玄関の出入りでマダニが侵入することがあります。

そして重要なのが、猫から人への感染リスクがあることです。猫がSFTSに感染すると、唾液・血液・体液を通じて飼い主に感染するケースが報告されています。

これは獣医療者にとっても重要なリスクであると言えます。


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猫がSFTSに感染するとどんな症状が出るの?


SFTSは 発症すると急にぐったりすることが多い のが特徴です。

治療が遅れた場合、致死率が高いことが知られています。

主な症状

・ウイルス感染による炎症発熱(40℃以上になることも)

・全身状態が急速に悪化し、食欲低下・水を飲まない

・嘔吐、下痢といった消化器症状

・けいれん、意識障害といった神経症状

・血小板減少により、皮下出血、鼻出血



猫のSFTSの診断や治療は?

猫のSFTSの診断には問診、血液検査、遺伝子検査などが用いられます。

診断

・血液検査(血小板の減少、肝酵素の上昇)

・PCR検査(確定診断)

治療

・対症治療(症状を和らげるための治療)

・点滴、抗生剤、止血剤、栄養管理など


現時点での 特効薬やワクチンはなく、早期発見・早期治療が命を守ります。


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猫のSFTS予防策は?


まずはマダニ対策を徹底することが最重要です。


・予防薬

猫専用のマダニ予防薬を動物病院で処方してもらいましょう。市販薬は適応がない場合や副作用のリスクがありますので必ず動物病院で処方してもらうことが重要です。

通年予防が推奨されます。


・草むらや植え込みに近づけない

マダニは草むらなどで潜んでいます。お散歩に行くときには草むらや植え込みに近づかないようにしましょう。


・スキンシップでマダニの確認

万が一マダニが付いてしまったら、早いうちに発見してあげることが大切です。ブラッシングなどで日頃から皮膚や被毛の確認をしましょう。




万が一猫がマダニに咬まれたら?


絶対に素手で取らないでください。

無理に引き抜くと、SFTSウイルスが体内に押し込まれたり、唾液や血液から飼い主に感染するリスクがあります。そのまますぐ動物病院へ連絡し、受診しましょう。



【猫のSFTSが疑われる場合にやってはいけないこと】


・口を触る

・よだれや血液を素手で触る

・顔を近づけて看病する


※猫に触れるときは、手袋やマスクは必須です。



まとめ


SFTSは、予防できる感染症です。「うちの子は外に出ないから大丈夫」その安心感が、リスクを高めてしまうこともあります。大切な家族を守るためにも、毎月の予防を習慣にしましょう。


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執筆・監修

愛玩動物看護師 仲地亜由美

※参考資料、サイト:国立感染症研究所・厚生労働省・各獣医感染症学会資料より作成



 
 
 

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